コロナは紙から感染しにくい? 文章:大村浩一(紙業タイムス社) 2020年5月14日 当ページへ掲示

 日常、他の人とやり取りする手紙や、宅急便に使う段ボール。
 コロナウイルスの感染を媒介しないか、と不安に思う人は多いはず。
 いっぽうで「段ボールは24時間、プラは72時間残存」という記述もあちこちで目にします。

 直近では日経新聞の5月9日土曜版にも、こんな記事が。愛知医科大学の三鴨広繁教授(感染症学)
が、やはり「厚紙は平均24時間、ステンレスは同48時間、プラには同72時間残存」と述べています。



〔日経新聞2020年5月9日土曜版より〕

 この情報の元をネットで少し検索してみると、検索トップにこんなのが出てきました。
 米国立衛生研究所(NIH)ビンセント・ミュンスター博士らの研究報告からの記事。
 2020年3月14日付けです。

『新型コロナはダンボールに1日残存、吊革も感染ルートか』
 この記事の冒頭に「コロナウイルスは宅配用ダンボール箱の上で少なくとも1日、鉄やプラス
チックの上ではさらに長く留まることができる」とあります。この実験結果が24時間説の論拠
のひとつのようです。
 実験によれば「残存時間が最も長かったのはプラスチックやステンレス鋼の上で、3日間
留まっていた」との事。
 ただし「ウイルスが実際に無生物を介して広がることを示す決定的な証拠は今のところない。
現時点では、汚染された物体の表面や無生物からCOVID-19に感染するかどうかは不明」と
しています。

 とは言えそのほかのプラ素材や、ステンレスのような殺菌性を持たない金属に比べれば、
紙は多少はマシなのでは、と希望が持てます。

 もう一つ参考。手前ミソですが私の会社の紙産業のニュースレター。
『Future』誌3月23日号ワールドニュース
『イタリアの包材業界 ウイルス感染の懸念を打消し』22ページから。
時期としては2月下旬から3月初旬の話題です。

「欧州段ボール連盟(FEFCO)は、欧州食品安全機関(EFSA)、欧州疾病管理予防センター(ECDC)、
ドイツ連邦リスク評価機構(BfR)、デンマーク保険局との間で、特に中国から入荷するパッケー
ジングおよび製品に関連して、ウイルスがどのように感染し、また感染しないかについて実効性
のある連携を構築した」とあり、
「『現在のところ汚染した食品の摂取または輸入玩具のような新たなルートによって、新型コロナ
ウイルスに感染した人はいない。食品または乾燥した表面への接触による、コロナウイルスへの
感染報告もない』とBfRは説明した。さらに『これまでに報告した感染経路を勘案すれば、食品類、
消費財、玩具類、コンピュータ類、衣類、靴類のような輸入品が新型コロナウイルスの感染源に
なることはまずない』と付言した」との事です。

 というわけで雑に言えば「段ボールや手紙は、一昼夜陽干しすればほぼ大丈夫だろう」という
事になったようです。
 ニュースは世界的な感染拡大の初期のものなので、現在はもっと新たな知見があるかもしれません。
 情報があるようでしたらお知らせを頂けたらと思います。

 * * *

 最近ではコロナウイルスは、人間のせきなどに含まれる、微小な水滴などのエアロゾルを介して
 感染すると言われています。しかし前出のミュンスター博士らの記事の末尾には「別の研究では
(中略)温度や湿度が低い環境ではウイルスの残存時間が長くなる」などとあり、物品の表面が
乾いているほうが良いのか、あるいは湿っているほうが良いのか、私にはまだ分かりません。
新たな研究成果が待たれるところです。

 しかし私たち生活者としては、たとえ疑わしい段ボール箱でも、以下程度の対応策を講じれば
大体は大丈夫ではないか、と考えました。
 以下は私の考えた消毒の例です。医学的な実証は何もしていませんが、ご参考までに。

1)疑わしく思える段ボール箱(一般的な茶色の紙箱)は、一昼夜24時間以上、屋外の濡れない
場所に放置する。できれば日光の当たる場所で乾燥させ、地面からは浮かせる。

2)箱の表面を消毒する。エチルアルコールなど消毒薬を噴霧し、抗菌ウェットティッシュなどで
表面をぬぐう。粘着テープの部分も清拭する。消毒後はアルコールが揮発するまで放置。

3)作業後は自分も手洗い・顔洗い・うがいをする。不安な人は作業時にマスクや手袋も使う事。

 なお紙の箱も、表面にフィルムがラミネートされているような防水仕様の箱はプラ製と同じ
なので、開梱を急ぐなら、より厳重な消毒が必要だと思われます。
 先の記事では「ドイツの研究者らは2月に、新型コロナウイルスについてその時点で分かっていた
ことをまとめた。そこでは、表面を消毒してから1分以内に数百万個のウイルス粒子が100個まで
減少し、感染のリスクを抑える可能性が示された」とあります。
 つまり多少は面倒でも滑稽でも、感染が怖いと思う時はこうした消毒をするほかはない、と
思います。

 なお当記事の内容や作業は、あくまで個人的な意見であり、
感染の可能性を100%回避できるものではありません。
 当記事の情報や作業の結果、感染などの被害に遭われても、
当方は一切の責任は負いかねますので、
読まれた方は予めご承知おき下さい。



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